薄味育児とお菓子の話。「知らない=幸せ」な時期は、確かに存在する【管理栄養士ママの視点】

お菓子については、多くの親が悩みます。
「あまり与えたくないけれど、周りはもうあげている」「完全に禁止するのも現実的じゃない」「かわいそうって言われるかも」。情報も意見も多すぎるからこそ迷いが生まれ、正解が見えなくなるテーマのひとつだと思います。

私は管理栄養士であり、二児の母です。結論から言えば、わが家は最初から「積極的にはお菓子を与えない方針」でした。 ただし、「お菓子=悪」と決めつけたかったわけではありません。お菓子は人生の楽しみのひとつですし、いずれ社会に出れば必ず触れるもの。大切なのは、「お菓子は必須ではない」という事実と、「触れ合うタイミングは親が少し設計してもいい」という現実的な視点だと思っています。

今の時代、加工食品や人工的な味に触れない生活をするのはほぼ不可能です。外食、総菜、ファストフードなど、“避けたくても避けにくい領域”はすでに生活の中にあります。だからこそ、“避けやすいもの”=お菓子から少し距離を取るという考え方は、合理的で現実的でした。「かわいそうかな」と感じる瞬間もあったので、常に子どもの様子を観察しながら進めていましたが、結果として「わが家はこれでよかった」と今ははっきり言えます。


食事前に「お菓子ほしい!」が出てこない。それだけで育児は大きくラクになる

お菓子を控えていて、最も実感したのはここでした。
食事前に「お菓子が食べたい」と言われない。 これだけで、育児は本当にラクになります。もちろん、性格や個人差はあります。でも、「お菓子じゃなきゃイヤ!」という状態にならず、フルーツやヨーグルト程度で気持ちが落ち着くというのは、親にとって大きな安心でした。

フルーツやヨーグルトなら、多少食事前に口にしても極端に食事量が落ちるわけではありません。量に気をつけつつ、「どうしても聞かないなら少しだけ食べていい」という柔軟さも保てました。例えば、腹持ちの良すぎるものよりは、みかんなど軽めの果物を選ぶ。そういう調整で十分成立します。

結果として、甘味のハードルが高くならず、“素材の甘さ”で満足できるという感覚が育ちました。「もっと甘いもの」「もっと刺激的な味」へ進まなくても成立する。この感覚は、薄味育児とも強くつながっていると感じています。


うちのおやつは「お菓子の代わり」ではなく、“別の基準で満たしていた”

お菓子を控えると、「かわいそう」「がまんさせている」という話になりがちです。でも、私の場合、罪悪感はほとんどありませんでした。理由は明確で、子どもが苦しんでいないことがはっきりしていたからです。
“欲しがっているのに与えない”という構図ではなく、そもそも「お菓子が前提の世界」をつくっていなかったという感覚に近いと思います。

わが家では、おやつの位置に置いていたのは次の3つでした。

  • 食事の一部として成立するもの
  • 甘みがしっかりある果物
  • 満足感のあるヨーグルト

つまり、「お菓子を禁止した」というより、**“お菓子という枠そのものを別のもので満たしていた”**のです。さらに、これは家族みんなで一緒に食べられるものでした。
「親は好きなものを食べているのに、子どもだけ制限」という不公平感にならない。むしろ同じものを囲んで楽しめる時間が自然に増えます。栄養的にもビタミンやミネラルが補える安心感があり、「これは制限ではなく、わが家の選択だ」と落ち着いて思えました。精神的にはむしろラクだった、と言い切れます。


周囲との軋轢は、意外なほど起きなかった

「周りとの関係が大変そう」と思われる方も多いですが、実際はそうでもありませんでした。
祖父母にはあらかじめ「お菓子じゃなくて果物を用意してほしい」と伝えておく。それだけで十分成り立ちました。食前に食べ過ぎないよう調整する場面はあっても、「考え方が合わなくて疲れる」というほどの摩擦はありませんでした。

友だち関係も同様です。保育園に入る前の時期は、そもそも遊びの時間帯が午前中心で、お昼前に解散することが多い。お菓子が必ず主役になる場面ばかりではありません。もしお菓子を差し出されても、「ごはんのあとにするね」と伝えれば、ほとんどの親御さんは理解してくれます。むしろ、「そう言ってくれて助かる」と感じている人が多いとさえ思いました。

もちろん例外はありました。年上の子たちと遊ぶときには、一緒にお菓子を食べる場面もありました。でも、それを“禁止”にはしませんでした。
「今日はスペシャルデー」
そういう位置づけで十分でした。不思議なことに、それで極端な執着は生まれない。むしろ、普段から果物が好きという“基盤”が強く、そのまま保てていたと感じています。


管理栄養士としての結論。「お菓子=悪」ではない。ただ、“知らない時間”は守れる

私は、お菓子を一切禁止すべきだとは思っていません。お菓子は社会生活の一部であり、子ども社会に一歩踏み出せば、自然と触れる機会は増えます。保育園が始まり、友だち関係が広がる。それは避けるべきことではなく、むしろ健全なことだと思います。

ただ、その前提に立った上で伝えたいのは、
「お菓子に出会うタイミングは、親が少しだけ設計していい」ということ。
そして、“まだ知らなくていい時期”は、確かに存在するという事実です。

わが家はただ、お菓子とのスタートを少し遅らせただけ。
それだけで、保育園入園までの育児は確実にラクでした。イヤイヤ期はもちろんありました。でも、「お菓子を巡るバトルがほぼ存在しない」というだけで、育児のストレスは一段階軽くなる。それは実感として断言できます。

お菓子は敵ではありません。ただ、“すぐに迎え入れなければならない存在”でもありません。
「知らない=幸せ」な時期があることを理解し、その期間を親が少し守ってあげる。
それだけで、親も子どもも、もう少し穏やかに過ごせるケースは思っている以上に多いのではないか。私はそう感じています。

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