昨日、夫婦喧嘩を娘に見せてしまった。たぶん、少しは娘の心をかき乱したと思う。こういうとき、娘は決まっていい子ちゃんになる。聞き分けがよくて、空気を読んで、いつもより少し静かになる。それを見ると、まず「ごめん」と思う。3歳の子に、こんなことで無理をさせているな、と思う。同時に、ものすごく可愛く見える。この子を守らないと、みたいな気持ちが急に強くなる。
昨日も、その流れで娘を抱きしめた。特別な理由はない。ただ、くっつきたかっただけだ。抱きしめると、重みと温かさがあって、それだけで安心する。ああ、これが幸せホルモンってやつか、と思う。昔はパパともこうやってくっついていた気がするけど、今はもうよく分からない。たぶん触れ合ってないからだと思う。赤ちゃんの弟を抱きしめているときも同じ感じがする。結局、重みと体温があればいいんだと思う。
そのままの勢いで、冗談を言った。「ずっとそばにいてね」。本当に冗談だ。意味としては、「結婚しないで、ずっと家にいてね」くらいの軽いやつで、娘がまだよく分からないことをいいことに、わたしはこういう冗談をわりとよく言う。完全にオヤジギャグで、そばにいたパパだけが意味を理解して、ちょっと笑う。
もちろん、娘にはいつか結婚して家を出て、自分の人生を生きてほしいと思っている。子どもが生まれるって、こんなに幸せなんだよ、ということも、いつか知ってくれたらいいなとは思うけど、それを押し付けちゃいけないことも分かっている。だからこれは、深く考えた言葉じゃない。ただ、そのときあふれてきた気持ちを、冗談にして外に出したかっただけだ。
すると娘が、少し考えてから言った。「ママ寂しいの?」。拍子抜けした。ああ、そっちか、と思った。娘にとっての「寂しい」は、たぶんもっと単純で、「寝るときに一人だと寂しいから、そばにいてほしい」、それくらいの感じなんだと思う。変に説明する気にもならなくて、「うん、寂しいの」とだけ答えた。
娘はそれ以上、何も聞いてこなかった。返事を求めていたわけでもないと思う。わたしも、分かってほしかったわけじゃない。ただ、あふれてきた気持ちを、冗談にして言葉にしたかっただけだ。
拍子抜けして、そのまま、ちょっと笑って終わった。
